お絵かきブログ/絵を描いて見えたもの

何かをつくったり、アートに触れたりする楽しさを、共有できたらもっと素敵。

描くスピードははやい方がいいか

美大で学んだことシリーズ。

 

前回の記事はこちらです。

seitua.hatenablog.com

 

 

今日は描くスピードについて。

 

美大生は受験の際、試験時間内に絵を描き上げる必要があるので、ある程度のスピードで描けるようになっています。

私の卒業した女子美術大学日本画の試験問題を調べてみると、静物画(水彩絵具使用)12号を6時間で仕上げるようになっていました。12号って言うのは大体60㎝×50㎝くらいです。

私の頃は、推薦入試(学校からの推薦状と作品を持参しての面接)と一般入試(その場での静物画制作と学科試験)だけだったんですが、今は何やらいろんな試験の方法があって自分で選べるようですね。自己推薦でポートフォリオ持っていったり、3時間で静物画描いて面接も受けるパターンがあったり、と女子美だけでも色々ありました。

 

 

話を戻しましょう。描くスピードについて。

教授は言いました。

「手がはやいからいいというわけではない。遅くても、描きたいものやその空気を捉えられる方が良い」

「大事なもの見つける前に絵を終わらせない」

 

作品を作る上で、なんとなくそれっぽくなったから絵を終わらせるのではダメだということだと思います。

自分が本当に描きたかったものが描けているのか。

その絵を描いたことで自分は何か新しいものを掴んだのか。

そういう自問自答を繰り返しながら制作することで、成長していく。

 

結構やっちゃうんですよね。手抜きというか、路線変更。

最初は明るく眩しい感じで描こうとしていたけど、なんかいい感じに落ち着いた雰囲気になってきたから落ち着いた絵にしちゃおう、みたいなやつ。

作品としてはそれなりな感じになるけれど、自分の絵を向上させていくことを考えたらもっと絵に向き合わなければならない。粘らなきゃいけない。

 

それと同時に、絵とずっと向き合っていると、自分の中の大切なものがじんわりと輪郭を持ってくることがある。こういうものが好きなんだ、こういうものを大切にしたいんだって気づく。試行錯誤を繰り返すうちに新しい発見があったり、今までできなかった描き方ができるようになったりもする。

だから「はやく終わらせればいいというものでもない」。

 

 

でも粘って描くと、描きすぎて汚くなっちゃった、とか、やりすぎてゴテゴテしちゃった、なんてこともありますよね。

「描きすぎた絵を数枚持っておくと良い」とも言われました。

自分がどこまで描き込めるのかを知り、どこでやめるのがちょうどいいかを知るには、一度描き込みすぎてみること。描き込みが足りていなかった人は新しい境地に行けるし、描きすぎていた人は経験で自分のちょうど良い塩梅を探っていける。

 

難しいね。私は今もどこで終わらせるか迷うことが多い。

筆を置くタイミングをどうしても決められない時は一度寝かせることにしている。数日間は絵を見ない。数日後パッと絵を見た時に良いと感じればそこで終了するし、何か気になればまた修正する。

この決断って結構負荷がかかるなーって思う。わかりやすい正解がないから。

 

 

 

 

ではスピードは全く必要ないのかと言われるとそんなことはなく。

プロとしてやるなら必須レベル。

趣味でやるなら必要ないかな。終わりまで詰める力はあった方が上達すると思うけど、別に速くなくていい。

 

大学でも一度だけスピードを必要とされたことがありました。

「少ない時間で一気に仕上げなきゃいけない時っていうのがあるから。そういう経験もしておくよう」と言って通常課題とは別に「一週間後までに人物二人を入れた絵、20号以上で提出ね」って急に言われました。

いや、課題がこれだけならまだしも、別に60号以上の制作課題があって人によっては座学系の授業もみっちり入ってる中で、一週間後に提出!?スケッチも水張りも何もしてないところから!?ってなりましたわ。

でも今になるとこの経験の大事さが身に沁みる。。。ありがとう先生。。。

 

 

スピードの大切さに関しては、前にも紹介したこの本にわかりやすく書かれている。

完売画家

完売画家

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納期のあるものだってあるし、食べていける分だけ稼ごうと思ったらスピードがないと無理っすね、本当に。

著者がスピードを上げるために行ったことも本に書かれています。

ざっくり言うと、道具を良い状態に保つことと完成系をイメージして描くこと。当たり前のことのようだけれど、効果は絶大です。私も完全に同意。気になる方はぜひお読みください。

 

 

ちなみに私のスピードはどんなもんかと言いますと、多分「普通」くらいです。

世の中にはものすごいスピードで描きあげる猛者がいっぱいいますからね。。。全然敵わないです。

でもこの前参加した風景画講座では、他の参加者の方から「この短時間でこんなに描いたんですか!?」と言われたので、一般の方に比べれば速いのだと思います。

私は制作においてスケッチとか構想にとってる時間が長いので、決まったものを描くだけならまあまあスピードが速いのかな、と。

でももっともっとスピードを上げたい所存であります。

 

 

 

 

 

 

ここからはいつものように私の個人の話です。

制作中の写真。

この絵については今は完成していますので、桜の絵とともに今週中に額装店に持って行きたい。2月の展示会に出すので、完成した全体像はその時にお披露目しようかと思っています。

額装ってなんか緊張するんだよなー。なんでだろう。予算内で良いのがあるかドキドキするし、決断を迫られる場でもあるからかな。

あと一点今月中に制作したい。がんばろ。スピードスピード!

 

 

最近『しずかなインターネット』なるものを始めた。読んでいるブログで紹介されていて、気になったので。名前は別名でやってる。

「いいね」や広告のないブログサービスみたいな感じ。しずかにひっそりやるのにちょうど良い。

描いている時に「ムード」というのを選択すると背面の画像が変わって音が流れるようになっていて、雨音とか川の流れの音とかが聞こえて、心地よい。瞑想感ある。だから公開せず個人的なログとして使うのにも良い。

ぶっちゃけこっちのブログでいっぱいいっぱいなので(笑)、そんなにがっつりしずかなインターネットの方をやる気はないんだけど、自分のメンテナンス用に使おうかと思っています。

 

昔とある仕事を辞める時、辞める日程を話し合いで決めた(会社側の希望で大体10ヶ月後になった)後、パワハラが始まりまして、その10ヶ月間が本当にきつかった!次の職場で人にも待遇にも恵まれたのでずいぶん癒してもらいましたが、いまだに古傷が痛むことがあってな。。。

その体験記を私側の非常に個人的かつ独断的な視点で紡ぐことによって昇華したいという欲。

非難したいわけではなく、私の感じたものは私にとって事実なので、それを形にすることで自分を癒したいという欲です。

しずかなインターネットはこういう行為をひっそりやるのにちょうど良さそうです。