お絵かきブログ/絵を描いて見えたもの

何かをつくったり、アートに触れたりする楽しさを、共有できたらもっと素敵。

【評価に囚われずに絵を描く】

今日は「人の評価を気にしすぎる必要はない」というお話。

実はこれも美大の先生に教わったことの一つでもあるんです。

 

先生の体験談。

先生の先生は、現代日本画の巨匠にあたる方でして、大きな美術館で展覧会も行われるし、画集も販売されるし、シルクスクリーンの複製作品でも割といいお値段で売られているような方なんです。その大先生に作品が酷評されたことがあったそうな。

その時「なにくそー!」と思ったものの言い返すことはできず、飲み込んだそうです。

 

時は過ぎ、先生が個展を開く際、大先生に酷評された絵も展示することにしたそうです。すると来ていただいた方から「この絵素敵」「これいいねぇ」という言葉をたくさんいただいたんだそうな。

そんで先生は「やっぱりいい絵じゃん!ほらみろー!」って思ったそうです。

 

先生はその大先生からたくさんのことを学び、感謝しているそうです。

でも、たとえ信頼している人からの意見でも、自分が「そんなんことない!」と強く思うのであれば自分の感性を信じても良い。人の好みは違うから、誰かにダメだと言われても、自分が気に入っている絵や感性は大切にした方が良い。

先生はそんな風に言っていました。

 

 

 

また、別の先生がこうも言っていました。

「誰にどう評価されるより、自分の好きな作品を一つずつ増やすのがものづくりの基本。」

「無心になって描けるものって大事。」

 

「自分の好きな作品を一つずつ増やすのがものづくりの基本」って言葉、すごく良い。

ワクワクしながら創作をする気持ちを思い出させてくれるし、造形活動を楽しむことにスポットを当て直してくれる言葉だなって思います。大好き。

しかもプロとして制作してる人がこう言うんだから信じてもいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

最近五味太郎さんの「じょうぶな頭とかしこい体になるために」という本を読みました。

この本は、子どもたちの疑問に五味太郎さんが答える形式で書かれているので、小中学生くらいを相手に書いた本かなと思うんですが、独自の柔軟かつ具体的な回答に大人も考えさせられる内容です。子育て中、何か子どものことで悩みがある方にも役に立つんじゃないかなと思う。常識や凝り固まった価値観をほぐしてくれる。

 

この中に絵について書かれたページがあります。

以下、一部抜粋。

『絵を大切にする人は絵のうまい、へたを言いません。よい絵、よくない絵という言い方をします。』

『絵をうまい、へたで見る人はその技術ばかりを見ている人です。そしてそれは多くの場合、すでに評価の定まっているいわゆる「よい絵」「上手な絵」「名画」「名人の描いた絵」ということになっている絵などにどのくらい似ているか、近づいているかで判断されます。』

『絵や歌は個人の感情、感覚、考え方などを表現するためにあると考える人は、うまい、へたの判断をする必要はありません。他からの評価を気にするべきではありません。よい絵かどうか、つまりその目的が成功してるかどうかを気にするべきです。そして他からの評価もその方向であるなら素直に受けとめたほうがよいと思います。』

 

もちろんひたすら技術の高い絵を描きたい人もいるでしょう。五味さんも本の中で言っているのですが、技術を上げること自体にも大変な努力が必要です。その努力だって賞賛に値します。

大切なのは、自分の絵が何のためにあって、どう描きたいのかだと思います。

他人の価値基準による評価ではないのです。

人からの評価を気にして、自分の絵を見失ってしまったら、元も子もない。

ぜひ、自分が好きな「よい絵」を目指してほしいと思います。

 

 

 

前回の美大で学んだことシリーズはこちらから。

seitua.hatenablog.com