絵を描いていて自分の絵は構図に弱いなと思ったので、本を読みました。
この本、なかなかよかったです。
タイトルを見た時は、「名画はここが素晴らしい!」みたいな名画解説の本かなと思ったんですが、ちゃんと構図の本でした。
構図の技法、構図が人に与える心理的効果がまとめられており、その例として名画を紹介しています。名画の構図を少しいじって見せて、構図が変わるだけで絵の印象が変わることを視覚的にわかりすく説明してありました。
画家の人生の小話も載っており、雑学的な面白さもあり。
なかなか良かったので、配色についての本も読みました。
どちらもおすすめです。
さてさて、上記の構図の基本の本に載っていて面白かったのが、このセザンヌの「赤いチョッキの少年」の絵についてのお話。
これね、まあ腕が長いですよね。
セザンヌは人体が正しいことよりも、画面の構成が美しいことを望んだようです。
面白いですねー。
人のかたちって毎日目にしているので、正しいか正しくないかがわかりやすいです。でも絵はその正しさだけが正解じゃないのが面白い。
この絵を見た時「腕が長すぎるからおかしいよ」って言ってしまうのは簡単です。でも絵としての強さや構成上の美しさは?画家の意図は?そういうことまで含めて評価できるかっていうと難しいです。
作者が何を描こうとしていたのかを知ろうとすることは、作品鑑賞においてグッと深みのある面白さを足してくれるものだと思います。名画に関わらず、どんな絵でも。
つい自分にとっての正しさを当てはめてしまおうとしがちだけれど、一歩踏みとどまって作者の思いに寄り添うと、絵の世界は広がっていく気がします。
というか、どんな絵でもいいところを見たほうが楽しいし自分にとってもいい刺激になるよね。上手い人のは言わずもがなだけど、初めて描く絵もめっちゃいいもん。好きとかワクワクが詰まってるし、その人の世界が絵にしっかり出るし。
人の絵の良いところをたくさん発見できる人でありたい。